歩き遍路旅3日目。7時。朝早くから昨日の11番札所藤井寺まで送って下さる。ホントにありがたい。
7時半。昨日の藤井寺からいきなり山道だ。これでなくっちゃ。これには慣れてる。
今日も楽しかった。
初めて吉野川が見えた。向こうの山並みの中腹に昨日登った切幡寺が見える。あそこから歩いてきたんだ。ちょっと感動。
途中の休憩所「一本杉越え」
ここで、お遍路さん同士の会話が楽しかった。
なんと四国歩き遍路18回のツワモノ。18回って…
千葉から4回目の人。
新潟から初めての歩き遍路の男性。定年退職して「自分探し旅」か。
18回ってどうよ?! その魅力は何?と尋ねると、「ヒマやしな。とにかく楽しい。歩き遍路同士との話も楽しいし、皆親切にしてくれる」
「ずっと一本につながって歩けるのがいい」
四国を2万キロ以上歩いてるんだよ。
なるほど、わかる気がする。私も最初は距離の短い所は歩こう。長い所はバイクで走っちゃえ、なんて思ってたけど、もう今は全部歩いてやる!って思ってる。
小さいデイパックで歩いてる人に「お荷物は?」と聞くと、「昨日の宿の人と今日の宿の人が連携して、荷物を受渡ししてくれるんや」と。
それもお接待だ。
これが歩き遍路の魅力なのだ。
しんどい登りを登ったのに、なんと300m以上下って集落に出た。
こんなとこにも人は住んでる。
さあ、最後の登り。又登り返す。結局は累積900mは登ったことになる。けっこうな登山だ。
ごもっとも…
いえいえ、ご親切に。これもお接待だ。
梵字が前か…
着いたのかあ。参道だ。車でここまで来た人が歩いてる。くそっ!
やっと来た。12番焼山寺!
白装束の集団。お遍路ツアーだ。バスも入れない山道なので、小さいマイクロバスに乗換えて上ってくる。
なんだよ。そんなに正装する前に歩けるよ。
拝んでお経あげて、駐車場へ帰って行った。御朱印は添乗員が後でまとめて。
それを尻目に疲れためーちゃんはごろ寝。
大師様は、
あの連中と頑張って歩いてきた私と、どちらにご利益くださる?
充分休んで、さあ今日の宿まで下ろう。4キロ弱。
下る途中の杖杉庵「じょうすいあん」と読む。
ちょっといい話だから、おつきあいください。
「昔、右衛門三郎とゆう豪商がいて、人使いも荒く、カネの亡者だったそうな。ある日、托鉢にやってきた僧侶を空海とも知らず、追い返すどころか茶碗を投げ捨て粉々に割ってしまう。かけらは八つに分かれて飛び散ったと。
空海は姿を消したが、その翌日から、右衛門三郎の8人の子供はひとりずつ八日間に死んでいったと。
三郎はその僧侶が四国遍路を旅している空海と知り、許しを乞うために遍路旅に出たが、20回も旅しても空海に会うことはできなかった。そこで、逆に歩けば会えるのでは、と逆回りに旅して、やっとこの杖杉庵で空海に巡り会えた。今日までの悪行を詫び許しを乞うたと。死に際に、生まれ変わったら国司になりたいと。三郎は空海に手に石を握らされ、そのまま息をひきとったそうな。
その後、愛媛で石を握って産まれた赤ん坊がいて、後に国司になり、民のために働いたと」
この話を、送迎中の宿の主人から聞いた。なるほど、だから「逆打ち」はありがたいのだ。
これが空海と右衛門三郎か。
ゆるやかな下り坂で鍋岩の集落へ。今日も1日いいお天気で元気に歩かせていただきましたのも、お大師様のおかげです。
ありがとうございました。
明日は13番まで18キロ。けっこう遠いな。
今日のお宿。ゲストハウスもりあん。こんな山奥に…
1泊2食で6000円。食事も美味しい。羽毛布団だ。ホットカーペットでぬくぬく。なんかいっぱい物が並んでて雑然としてるけど、なんだ?この居心地の良さは。
お経のCDがかかってる。なんか耳に心地いい。
これだけ日本中を旅していろんな宿に泊まったけど、最安値だ。
今回のお遍路旅で、ますますカミーノに行きたくなった。